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実は傑作?「ウルトラマンA」(4 

8月4日

製作の初期段階、プロット作りや脚本チームの中心となって「A」の作品世界を構築していった脚本家、市川森一先生。

市川先生が「ウルトラマンA」で描こうとしていたものは何だったのか?

「A」の劇中…もっとも有名なエピソードのひとつにこんな話がある。

宇宙のとある星に、ウルトラ兄弟達が呼び出される。
その星の名は“ゴルゴダ星”。
しかしそれはヤプール人が仕掛けた罠で、ウルトラ兄弟の能力を分析してヤプール人が作った強力な戦闘ロボット、エースキラーにウルトラ兄弟は捕らえられ“十字架に磔(はりつけ)”にされてしまう。

兄弟達を救うため、ゴルゴダ星へ向かうA。
その隙をついて、ウルトラマン不在の地球に超獣が出現する。
その超獣の名は“バラバ”…。

“バラバ”は磔刑にされるイエス様の身代わりとして罪を許された罪人の名。
“ゴルゴダ”はイエス様が十字架に架けられた刑場の地名。
どちらも聖書からの引用だ。

それは、完成された「A」全編を通してみればほとんど薄められ消えてしまったにも等しいモチーフなのだが…

実は「ウルトラマンA」という作品は、意図的にキリスト教の聖典“聖書”の世界…“黙示録的世界観”をジャリ番(アニメや特撮などの子供向け番組)で描こうとした先駆的作品だった。

聖書に描かれている“神と悪魔”は、単純な“正義と悪”ではない。

聖書の神様は、人間の信仰心を試すために時には生け贄を要求したりもするし、信仰心をなくした淫らな人々には神罰を当てて街ぐるみ消滅させたりもする。

それもこれも、我が子が曲がった道に進まぬよう、人間を愛するがゆえの厳しい折檻…なのはわかるけれど、まさに“しつけにうるさい親”そのものだ。

それに対し、人間はまるで“親のいいつけに耳を貸さない身勝手な子供”のようなもの。
親の愛を忘れて、欲望に負けてすぐ罪を犯してしまう。

お金持ちになりたい、楽な暮らしがしたい、異性にモテたい、他人を出し抜きたい…人間の欲望には際限がない。

その歪んで弱りきった心に“そんなに欲しかったら手に入れればいいじゃん、手伝ってやろうか?”と、そっと囁きかけ誘惑してくるのが悪魔だ。

悪魔を倒すことはできない。
なぜなら人間は、それほど簡単に無欲になることなどできないから。
人間にできるのは、勇気を振り絞って甘い誘惑に負けない努力をすることだけだ…。

聖書には、様々な試練に翻弄されながら、神と悪魔の間で揺れ動く人間の姿が描かれているが…「ウルトラマンA」も、まさに同じことを描こうとしていた。

ヤプール人という名の悪魔の誘惑に負けた人間が生み出した超獣…それはまさしく人間の邪心の権化…具現化された欲望そのものだ。

災害や大破壊…自分の力ではどうすることもできない脅威が身に迫った時、人々にはただ祈ることしかできない。

その祈りが、遠く輝く夜空の星に住む神の御元に届いた時、信じる者たちを救うため、銀河連邦はるかに越えて神は御使いを遣わし“奇跡”を起こす。

信仰心…神を、そして人間を信じることをやめなかった、選ばれし一組の良き男女…二人が授かった神との絆、ウルトラリングが光り、二人は現代のアダムとイブになって眩い光の中で溶けあい、“救世主”ウルトラマンAが誕生する。

そう…神と悪魔の超常的な力を借りて姿形こそ変わってはいるが、ウルトラマンAも超獣も、実はどちらも人間(の化身)なのである。

その戦いの意味するところは、まさに“ハルマゲドン”だ。

超獣は、神の御使いであるAの“神罰”によって撃退される。

それは“殺人行為”かもしれないが、Aは罪人がこれ以上罪を重ねる前に止めてあげた…罪人の魂を救ってあげたのだとも解釈できる。
悪魔の誘惑に負けて超獣を生み出してしまった人間は、言うなれば自らの欲望によって身を滅ぼしてしまったわけだから、これはこれで仕方ない。

こうしてみると、設定そのものは破綻なくまとまっており(?)「A」の世界観は実によくできているように思える。

しかし…いかんせん、コレをやるには時代が早すぎた。

「A」の放送当時にはまだ、ジャリ番に聖書的世界観を上手く組み込むことができるほど日本のコンテンツ産業は成熟の域に達してはいなかった…。

はたして「ウルトラマンA」を見て、Aと超獣の戦いが、神と悪魔の戦い(人間をよりしろにした代理戦争だが)に見えた人間が何人いただろう?

放送当時、この設定の意図するところを正解に理解できていた者がスタッフも視聴者も含め、一体何人いたことか。

いまならば、どうだかわからない。
「A」から30年以上経って、聖書的世界観を存分に盛り込んだアニメ「エヴァンゲリオン」が大ヒットしている現在ならば。

しかし当時、「A」の視聴者である子供にとっては、作品の世界観などそれほど深く掘り下げなくてもいい…はっきり言ってどうでもいい問題だった。
子供にとって重要だったのはただ“今週はどんな能力を持ったどんな形の怪獣がウルトラマンと戦うのかな?”ということだけだった。

その結果、当初の企画意図などどこへやら、「A」はあの手この手で子供たちの顔色をうかがうような番組になっていってしまった。

ショッカーのような基地を持たず、異次元という掴みどころのない場所から攻めてくる…そんな曖昧さが嫌われたのだろうか?
せっかくのイイ設定だったヤプール人もその設定を上手く活かしきれないまま番組中盤で姿を消した。

超獣という設定だけは残ったが、肝心の超獣のデザインが…サボテン、牛、ホタル、鳩…果ては河童、バイオリンというモチーフ的に子供にわかりやすいものから、何だかよくわからないものまで何でもアリの状態…ただただケバケバしいだけで(そこが超獣らしいともいえるのだが)“これぞ超獣”という決定的なラインを生み出すことができなかった。

その超獣のデザインに象徴されるように「A」の番組内容は放送中迷走をし続ける…。

そしてついに「A」は、設定の要(キモ)だったハズの男女合体変身まで止めてしまった。
理由はわからない。
どこかの子供から“変身ごっこするのに女の子と一緒じゃ恥ずかしくてやりづらい”とか、投書でも来たのだろうか?

ヒロイン“南夕子”の突然の降板…それは、演じられていた星光子さんにとっても寝耳に水の出来事だったという。

星さんにお聞きしたところ…事前にまったく、なんの相談もされておらず、シナリオを渡されて読んでみて初めて降板の事実を知ったらしい。

「A」から南夕子が姿を消す第28話のサブタイトルは「さようなら夕子よ、月の妹よ」という。

むごい…。

このサブタイトル…これを見た時の星さんの気持ちはどんなだっただろう…。

「思い出すと、いまだにちょっと…ね」と、星さんの目にうっすらと涙が滲んだ。

思い出させてしまってごめんなさい…。

しかし私は、その星さんの涙で少しだけ救われたような気持ちになった。

(続く)  
2009/08/05 09:25|特撮魂TB:0CM:0
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加藤 礼次朗

Author:加藤 礼次朗
1966年3月8日生まれ。
職業:漫画家。

1986年描き下ろし単行本
『まんが音楽家ストーリー ベートーベン』でデビュー。

映像界では、イラストや友情エキストラ(出演)、2007年にはオペラ「魔笛」の衣装デザインを手がけるなど漫画界以外でも幅広い活動をしている。

 

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