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宇宙戦艦ヤマト復活篇。 

11月28日
東京国際フォーラムで行われた『宇宙戦艦ヤマト復活篇』のプレミアム試写会に行ってきました。
前の日、学校で教壇に立っていたら知り合いの映画ライター、ビリー鈴木氏から「行かね?」と携帯にお誘いの電話が来て、ガッツポーズをとっていたら、生徒から「先生、何がそんなに嬉しいんですか?」と聞かれたので、とりあえず小一時間ほど『ヤマト』の魅力について講義しました。

私「アンドロメダ星雲からガミラス星人が地球に侵略してきてな。その攻撃で地球が放射能で汚染されてな。そしたらガミラス星で一番偉いヒットラーみたいなデスラー総統っていう男とな、仲の悪いイスカンダル星の女王スターシャって女が地球に連絡してきてな。コスモクリーナーDっていうスッゴい性能の…まぁ強力な空気清浄機みたいのをあげるから取りに来いって言ってきてな。まぁ、女王様だからなんか高飛車なのはいいとして…それで地球人は戦艦ヤマトを宇宙船に改造して貰いに行くっていう話ねん。」
生徒「それって…絶対罠でしょ。」
私「その通り。イスカンダル星に行ったら、その隣の星がガミラス星でした。」
生徒「ありえねー。そいつヒドイ女ですね。」
私「うむ。確かに…“女は恐い”って話だな。」
生徒「そのアニメ…本当に人気があったんですか?」
私「いや…視聴率が悪くて放送期間一年の予定が半年で打ち切られた…」

あれ?
「ガミラス星人」だの「コスモクリーナーD」だの、詳しく話せば話すほど、今の若者から失笑を買いそうな設定ばかりだが、全部本当のことなんだから仕方がない。
私はなんでそんなアニメに夢中になっていたんでしょうか?説得力まるで無し…?
でも、当時はそれがイケていたのよ…?

違う。『ヤマト』の魅力はそこじゃないの!

ヤマトの必殺技「波動砲」…その一発のビームを発射するのに、強力な特殊エンジンがあって、そのエンジン内のエネルギーを限界まで高めて、それを艦尾のエンジンから艦首の発射口まで送って、照準機で敵を狙って、閃光で目をやられないようにサングラスをかけて、トリガーを引いて、発射口にエネルギーが集中する描写があって…それでようやく「キュバアアアア」っと発射するという…。

たった一発のビームを発射するのに、そんな面倒な段取りを見せたアニメなんて『ヤマト』以前には無かったの。
そのあまりにも具体的な描写を見せつけられて当時のアニメファン(「オタク」という言葉はまだ無かった)は初めて「メカニック描写の魅力とはその仕掛けを見せることなんだな」ということに目覚めたのね。

その瞬間、アニメは「ロボットのお腹にポコっ!と穴が空いて“ゲッタービーム!“でメカザウルス爆発」みたいなモノから一歩進化したの。
『ヤマト』の波動砲があればこそ『エヴァンゲリオン』のヤシマ作戦もあったわけよ…と、こんな説明でよかったのか悪かったのか?
とにかく『ヤマト』にはそれまでのアニメとは何か違う、何かちゃんとやるとすごい大変なことになるのはわかっているんだけど、だからこそあえてそこをやってやろうじゃないの!という気概というかね…なんかちょっとそういうところがあって、そこがファンの心を掴んだわけなのよ…と、生徒の皆さんわかっていただけましたかね?

それはそうと、『ヤマト復活篇』。
観た感想を一言で言うと「まさしく『ヤマト』」という他にありませんでした。
ただし、松本零士(まつもと れいじ)先生の『ヤマト』ではなく西崎義展(にしざき よしのぶ)Pの『ヤマト』ね。
松本先生の『ヤマト』は『さらば』で一回終わっているので、『新たなる旅立ち』から続いている方の『ヤマト』ってことで。

何?何を言っているのかさっぱりわからない?
不勉強ですな。自分で調べて下さい。

今回の『復活篇』は西崎節が炸裂してます(ついでに石原慎太郎節も)…その意味で、免疫のない「やさしいアニメばかり観て育った」うちの学校の生徒達らが観たら面喰らっちゃうでしょうな。
なにしろ『ヤマト完結編』以降に生まれた子達だし。

しかし『復活篇』、ビジュアルは思った以上にすごいですよ。
メカデザイナーの小林誠(こばやし まこと)さんがちょうど最初の『ヤマト』で松本零士先生がやられていたようなポジションの仕事をされていて、それで逆に松本先生が『ヤマト』でどんな仕事をされていたのか?が私には三十数年目にしてハッキリわかりました。

あと、私的には総作画監督が湖川友謙(こがわ とものり)先生なので、久しぶりに大スクリーンで大量の「湖川あおり」「湖川立ち」するキャラを観ることができたのがちょっと嬉しかったですね。
上映後、西崎義展P(今回は監督も)の舞台挨拶。
いやぁ、さすがにお年を召されました。

その後は、ささきいさお氏による「宇宙戦艦ヤマト」と「真っ赤なスカーフ」のミニライブ。
東京国際フォーラムAホールに翻る、お客様達の振る真っ赤なスカーフの海(入場時にお客様に配られたモノ)。
写真撮影禁止だったのでお見せできないのが非常に残念ですが、絵的にはなんか中国の「文化大革命」みたい?…けど、やっぱり「ヤマト」は名曲ですな。

それにしても、古代進(こだい すすむ)役の声優・富山敬(とみやま けい)さんも、古代守(こだい まもる)役の広川太一郎(ひろかわ たいちろう)さんもすでに鬼籍に入られ、『ヤマト』関係者にも故人が増えてきましたね。

今回の映画も、エンドロールの冒頭に「この映画を捧げる」と故人のお名前がクレジットされるのですが…阿久悠(あく ゆう)先生、宮川泰(みやがわ ひろし)先生…はまぁわかるとして…なぜかその中に実相寺昭雄(じっそうじ あきお)監督のお名前が?

<交響詩ヤマト/演出>

ああ…なるほど。そういえば、そんな仕事も。
西崎P…義理堅いなぁ。
と、そこでハタと気がついてみれば…明日は(これを書いている時点でもう今日ですが)実相寺監督の命日じゃないですか。
いや、忘れていたわけではないのですが。
お墓参り、行かないとね。

1259459819-091129_021530.jpg
 
2009/11/29 06:55|見聞録TB:0CM:0
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加藤 礼次朗

Author:加藤 礼次朗
1966年3月8日生まれ。
職業:漫画家。

1986年描き下ろし単行本
『まんが音楽家ストーリー ベートーベン』でデビュー。

映像界では、イラストや友情エキストラ(出演)、2007年にはオペラ「魔笛」の衣装デザインを手がけるなど漫画界以外でも幅広い活動をしている。

 

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