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古賀春江の全貌。 

11月21日

神奈川県立近代美術館葉山館まで『新しい神話がはじまる・古賀春江の全貌』という展覧会を見に行ってきました。

家から東京駅経由横須賀線逗子駅まで約2時間、そこからバスでまた30分…往復約5時間という、私にとってはちょっとした小旅行でしたが、どうしても見たかったんです。

だって古賀春江(こが はるえ)画伯の個展なんて東京じゃやらないでしょ?

(と思ったら、なんだか2年くらい前にブリジストン美術館でやっていたみたいで。すみません、ノーチェックでした。)

古賀春江画伯は明治から大正時代にかけて活躍したシュールレアリズムの男性画家。

代表作『海』は、有名な作品なのでご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。



実相寺(じっそうじ)監督の遺作『シルバー假面(しるばーかめん)』のデザイン作業をお手伝いさせていただいた時、私の頭の中に真っ先に浮かんだ『シルバー…』の世界観が、ちょうど古賀画伯の『海』のようなイメージでした。

私は古賀画伯の絵を『海』と『窓外の化粧』しか知らなかったものですから



そんなわけで古賀画伯が他にどんな絵を描かれていたのか?
どんな方だったのか?

非常に気になっていたのです。

神奈川県立近代美術館葉山は、鎌倉らしい穏やかな海と急峻な山に挟まれた大変美しいところでした。





こういう場所で美術に勤しむ(いそしむ)というのは…とっても贅沢な気持ちになりますね。
ちょっと遠いけど。

古賀画伯は明治時代、水彩画専門誌『みずゑ』の創刊にも関わられていたそうで、私もそういう雑誌があるということは知ってはいたのですが「みずゑ」が「水絵(みずえ)」…つまり「水彩画」のことだったとは全然知らなくて、今回初めてわかりました。

ああ、それで…明治の流行小説である『三四郎』の中に、よし子さんが縁側で水彩画を描いているシーンが出てきたのか…と、本当になんにも知らなくて、コミカライズしたくせに描いた後になってからわかることばっかりで、とても恥ずかしい気持ちになりました。

古賀画伯は留学した画家仲間や海外の画家の影響を受け、キュービズムにいってみたり、クレーのようなガキンチョが描いたみたいな下手っぴーな…いや、無垢な絵を描いてみたり。



これを本当に『海』と同じ人が描いたの?…という感じ。

良く言えば器用、悪く言えば無節操な感じで、色々な画風やスタイルを試していたようです。

自分が描くべきもの、自分にしか描けないもの…「自分自身」とは何なのかを探していたのかもしれません。

男三十代は悩みの季節。

なので、私もそのあたり、すごくよくわかるような気がしました。
自分も一回通ってきた道なので。

しかし、古賀画伯は一回クレーにいったあとで『海』を描かれているのですから、やはり器用な人だったのには違いありません。

その証拠に、晩年は雑誌の装丁や広告のデザインなども手掛け、その方面で非常に優れた作品を数多く残しておられ…

これは現在でいうならグラフィックデザインのお仕事ですが、もちろん戦前にそんな言葉はなく、仕事としても確立されてはいなかったわけで。

『海』も海外の絵葉書や、科学雑誌に掲載された写真をもとにコラージュするという手法で描かれていて

(これはつげ義春先生が『ねじ式』の中で、夢の世界を描くのに用いた手法と同じものですが)

画家としてのインスピレーションが優れていたのはもちろんのことですが、そうした「画家のような感覚」が優れたデザイナーに必要不可欠なように、古賀画伯には非常に優れたデザインの才能(感覚)があって…だからこそ『海』は現在見てもみずみずしく、全く古くささを感じさせないのでしょう。

時代がその才能を充分活かしきれないうちに、古賀画伯は神経症を患って衰弱し、昭和8年38歳という若さで世を去っていかれました。

時代に対して、あまりにも才能が早過ぎたということです。

歴史をつぶさに調べていくと、ときたまこうした「まるでタイムスリップしてきた未来人のような人物」がポッと現れることがあります。

古賀画伯は未来人じゃないとはないとは思いますが、まるで水深数百メートルの深海まで澱みなく見通すかのような、透明で聡明な目(感覚)を持った人だったのではないでしょうか。

考えさせられました。

葉山は遠かったけれど、見に行った甲斐はありました。  
2010/11/21 21:03|見聞録TB:0CM:0
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加藤 礼次朗

Author:加藤 礼次朗
1966年3月8日生まれ。
職業:漫画家。

1986年描き下ろし単行本
『まんが音楽家ストーリー ベートーベン』でデビュー。

映像界では、イラストや友情エキストラ(出演)、2007年にはオペラ「魔笛」の衣装デザインを手がけるなど漫画界以外でも幅広い活動をしている。

 

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