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旅行記の最後に…。 

5月5日

豪快な大自然の神秘を堪能することができる「別府温泉・地獄めぐり」。

ダイジェスト版ではありましたがひと通りめぐり終えて、私が感じたもの…

それは別府という街のしたたかさと、そこに生きてきた人々の逞しさ…

街の「再生力」とでも言うべき力の強さでした。

太平洋戦争で空襲の被害にこそ遭わなかった(らしい)ものの、噴火や爆発など、過去幾多の自然の脅威に遭遇し

その度に被災と復興を繰り返してきたであろう別府。

土地の言い伝えによれば、別府湾に面した(猿で有名な)高崎山が途中でズバッと切れた急峻な崖のような形になっているのは、その麓の先に、かつて島だか半島があった頃の名残りなのだそうで…



その半島は、大規模な地殻変動が起こって海の底に沈んでしまったらしいのですが…

それが近年、大学による研究調査の結果、別府湾の海底から村落の跡が見つかり、言い伝えがただの伝説ではなく事実だったということが証明されたんですよ…と

地獄からの帰り道、タクシーの中で運転手さんが私に誇らしげに教えてくれました。

もはや地盤沈下というより、別府アトランティス伝説とでも呼んだ方がいいくらいスケールのでっかい話ですが…

そんなに地形が変わってしまうほどの地殻変動に襲われたんじゃ、被害も相当出たんだろうなぁ…

でも、そんな大災害があっても地元の人たちは踏み止まって、同じ土地にこうしてふたたび街を作り上げたんだ…

そりゃあ大変な苦労だったろうけれど…

人間ってのはすげえなぁ、と

別に別府の歴史にそれほど詳しいわけではないのですが…

車窓から街を眺め勝手に想像を膨らませつつ、私は勝手に感心していました。

「東日本が大地震と津波の被害で大変だってのはわかりますけどね、宮崎の新燃岳(しんもえだけ)の噴火…アレだってまだおさまってはいないんですよ、まぁあんな大地震の後じゃ仕方ないですけど…最近は全然ニュースで取り上げてくれなくなっちゃったでしょ?政府も少しはこっちにも目を向けてもらいたいですよ、九州だって大変なんだから…」と

運転手さんは一人ごとのようにつぶやいていました…。

もしかしたらそれが、南九州に住んでいらっしゃる方々の偽らざる(いつわらざる)現在の心境なのかもしれません。

西も東も…列島はいまホントに大変なことになっています。

私の住んでいる東京ですら回数こそ少なくなってきてはいるものの、度重なる余震にさらされて…

いつまたドカンとデカイのが来るんじゃないか…と、毎日ビクビク怯えながらの生活で、被災の恐怖は他人事ではありません。

(いまさっきも頭の上から落っこちてきた荷物を顔面で受け止めてしまって眼鏡のフレームがひん曲がっちゃいましたし…)

自然とは、人間の思い通りにはならないもの…。

それでも人間が地球の表面に張り付いて生きていくしかない以上、地震だ津波だ龍巻だと…自然の猛威に曝され続けることは、もはや避けられない宿命なのかもしれません…。

逃げ場がない以上…

人間にできることといえば「上手につき合っていくこと」…

ただそれだけではないでしょうか。

「自然に対して謙虚さを持って接することを忘れないで…」

ここ数日、うまく答を出せなくて、この日記を悩みながら何度も何度も書き直していたのですが…

「自然は常に人間の想定、予想を上回る」…

そういうものだということを前提に置いて考えること…

同じ犠牲を再び繰り返さないためにも…

本当の復興はそこから始まるんじゃないでしょうか。

原発事故の問題があるので、過去に起こった災害→復興と今回の震災被害→復興を同レベルで考えてはいけないのですが…

原発事故が起きてしまったことで、私たち日本人は今までまったく経験したことのない、過去に起きたどんな災害よりも複雑で深刻な事態に陥ってしまっているということは充分承知の上で

それでも

「あきらめなければ必ず明日はやってくる…」

…と

私は信じたいです。  
2011/05/05 06:29|見聞録TB:0CM:0
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加藤 礼次朗

Author:加藤 礼次朗
1966年3月8日生まれ。
職業:漫画家。

1986年描き下ろし単行本
『まんが音楽家ストーリー ベートーベン』でデビュー。

映像界では、イラストや友情エキストラ(出演)、2007年にはオペラ「魔笛」の衣装デザインを手がけるなど漫画界以外でも幅広い活動をしている。

 

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