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実相寺監督はモーツァルト? 

11月18日

洋泉社MOOK『別冊映画秘宝・ウルトラセブン研究読本』が、なかなか売れ行き好調なようで重版がかかったそうです。

その本の中の「秘宝読者が選ぶセブンの人気エピソード」というコーナーで、堂々1位に輝いたのが第8話『狙われた町』…

といえば、我が恩師・実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)監督の回ですが…

早いもので今月末(というか10日後)の命日で七回忌ですよ、もう。

7年もたったら、たいていのことは忘れちゃったり、あるいは忘れられちゃったりするものなんですが…

「人は滅びるとも作品は不滅」というか…

今年のウルフェスでもちょっと思ったのですが

『ウルトラセブン』というソフトが後世に残り続ける限り、夕日に佇むメトロン星人の鮮烈なビジュアルもまた『セブン』という作品を代表するキービジュアルとして永久に残り続けていくんだろうなぁ、と

そして、そのビジュアルに影響を受けた若者たちがまた次世代のクリエーターとして育って行くんだろうなぁ、と思ったりしました。

この後たぶん20年後か30年後…あるいは50年後なのかはわかりませんが(50年経ったら『セブン』放送から100年近く過ぎてるわけですが)

その時(未来)になってから見ても、おそらくメトロン星人のビジュアルってまったく古びてないと思うんですね。

私らが受けたビジュアルショックを、メトロン星人の回を初めて見た未来の子たちも同じように感じると思うんです…ちゃぶ台の前であぐらかいている宇宙人の姿を見てなんじゃこりゃ、と。

たぶんその時になって、ようやく実相寺監督の本当の凄さを世間の一般市民の人々知ることになるだろう、思っているのですが…

逆に言うと真の天才っていうのは、時間が少し経ってからでないと価値が正当に評価されない…それが運命っていうか…

モーツァルトもそうでしたからね。

生きてる間は単なる流行作曲家で

そういう流行曲にも音楽的な価値がある…いや、むしろそういう流行曲のほうが世間に浸透して、かえって後世に残ってしまう、という…

本人も自分がクラシックの巨匠になるとは思ってなかったんじゃないでしょうか?

実相寺監督演出のモーツァルトのオペラ『魔笛』の舞台を見て、ギャグのシーンでお客様が爆笑しているのを見て私は戦慄しました。

そのギャグが『魔笛』が作られた当時…200年前のギャグだったからです。

ギャグってある意味流行の最先端…流行り廃りが一番出る部分じゃないですか。

なのに、おそらく200年前のお客様も爆笑していたであろう同じシーンで、現代のお客様も爆笑してるんですよ。

「不滅」なものってこの世にあるんだなあ、ということをその時私は肌で感じました。

でも、だからって

いくらモーツァルトが好きでも「生前のほうが扱いが不遇」ってところまで、監督も真似しなくてよかったのにね。

(個人的な感想ですが、実相寺監督の作品はもっと評価されていいと思っているので、あえて「不遇」という言葉を使わせてもらいます。)

マニアだけじゃなく世間一般的に「実相寺昭雄の本当の価値」はこれからだんだん「わかってくる」んだろうと思っています。

でもさ

どうせわかるなら『うぶめ…』が興行的に日本映画史に残る大ヒットを記録するとか

『鏡地獄』がアカデミー外国映画賞取るとか

監督が生きてる間に(わかりやすいかたちで)もっとわかってあげりゃあよかったのにね。

まあ、不肖の弟子としてできることは

「その時が来た時のために」「正しい実相寺昭雄像」を後世に伝えるための努力をいましておく…ということでしょうか。

そんなことを、最近常々考えたりしております。  
2012/11/19 03:07|独り言

自画像 

加藤 礼次朗

Author:加藤 礼次朗
1966年3月8日生まれ。
職業:漫画家。

1986年描き下ろし単行本
『まんが音楽家ストーリー ベートーベン』でデビュー。

映像界では、イラストや友情エキストラ(出演)、2007年にはオペラ「魔笛」の衣装デザインを手がけるなど漫画界以外でも幅広い活動をしている。

 

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